2016年9月18日日曜日

西洋・東洋の視点:鳥的・虫的

ヨーロッパのものの見方は俯瞰的というか鳥的、東洋は虫的です。世界を上から見るか、そのものの中に入っていって世界を感じながら見るかという違いがある。キリストの磔刑(たっけい)というのは俯瞰的で、高みに向かって昇天する瞬間をあらわしたもの。立ったまま死んでゆくわけです。一方、寝釈迦というのは大地に横たわったまま涅槃に入る。釈迦は大地に横たわり、森羅万象が寄り集まる。視線が大地にある。キリストは天に向かう。虫型は触覚的な感じで、俯瞰型は世界を離れて見る客観的、科学的な知性の在り方です。その両方が日本やバリではクロスしている。(大須賀)

 杉浦康平・伏見康治・森毅・養老孟司ほか(1993)「対談◎電子時代の身体とアジア——境界線上の舞態論(大須賀勇・布施英利)」『形の文化誌[1]アジアの形を読む』p.149, 工作舎.